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複数の高専が併願受験可能に!でも合格者はごくわずか

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従来は高専を1つしか併願できなかったが、複数校志願受験制度によって多くの高専を併願受験が可能となり、最大9学科を同時に受験することも可能だ。しかし、この制度で合格する学生は少ない。

複数校志願受験制度とは特定の高専を併願受験する制度

複数校志願受験制度とは、特定の複数の高専を併願受験できる制度である。
複数校志願受験制度

例えば第一志望のA高専の機械工学科で不合格になっても、第二志望のB高専の情報工学科に成績が反映されて合否が判定される。ただし志望順位が上位の学科を優先的に合格とし、他の志望学科は不合格となる。

複数校志願受験制度は、商船学科の定員割れを防ぐ目的で瀬戸内にある商船高専3校(大島・広島・弓削)が始めた制度であり、近年は定員割れを防ぐことに成功している。(詳しくはJ-STAGEー離島高専の運営と学校改革を参照)

この成功以降、商船高専3校は複数校志願受験制度の対象と他の学科にも拡大した。

また商船高専3校の成功をまねして、他の高専でも複数校志願受験制度を採用し始めている。

北海道内4高専の全学科が併願可能に

例えば平成30年(2018年)度入学者選抜から北海道内4高専(函館・苫小牧・釧路・旭川)において、全学科(最大9学科)を併願することが可能となった。

北海道4高専の併願可能学科
併願可能な学科 備考
函館高専 生産システム工学科
物質環境工学科
社会基盤工学科
各教科の配点は100点だが、数学・理科・英語の得点を2倍にして選抜
苫小牧高専 創造工学科
釧路高専 創造工学科
旭川高専 機械システム工学科
電気情報工学科
システム制御情報工学科
物質化学工学科

(表は苫小牧工業高等専門学校 ー 北海道内4高専における複数校志望受験制度についてをもとに作成)

東北地方3高専の全学科が併願可能に

また令和5年(2023年)度から東北3高専(秋田・八戸・仙台)の全学科(最大8コース)を併願することが可能となった。

東北3高専の併願可能学科
併願可能な学科 備考
秋田高専 創造システム工学科 秋田高専を第1希望として出願する場合は「社会」を受験する必要あり
八戸高専 機械・医工学コース
電気情報工学コース
マテリアル・バイオ工学コース
環境都市・建築デザインコース
各教科の配点は100点だが、理科・数学の得点を2倍、英語の得点を1.5倍して選抜
仙台高専 Ⅰ類(情報・電子系)
Ⅱ類(機械・電気・材料系)
Ⅲ類(建築系)
各教科の配点は100点だが、数学の得点を2倍して選抜

(表は秋田工業高等専門学校 ー 秋田高専令和5年度入学者選抜の変更点をもとに作成)

実は合格者が少ない

下の表は令和4年度における商船高専3校の複数校志願受験制度による合格者数である。

商船高専の複数校志願受験制度による合格者数
学科名 複数校志願受験制度における合格者数(人)
広島商船 商船学科 8
電子制御工学科 3
大島商船 商船学科 8
電子機械工学科 -
弓削商船 商船学科 10
電子機械工学科 2
合計 - 31

商船高専3校の商船学科と電子制御学科(電子機械工学科)の合格者は合計で31人しかいないが、複数校志願受験制度は定員を埋めるために作られた制度なので、合格者が少ないのも納得である。

デメリットの多い制度

商船学科のように全寮制かつ就職する企業が限られている学科では、複数校志願受験制度のデメリットはあまりなかった。

しかし北海道の4高専や東北の3高専のように全学科を対象にした複数校志願受験制度で自宅から遠方の高専に合格した場合、以下のデメリットがある。

  1. 5年間入れる高専の寮は少なく、民間の賃貸住宅に入居することになり生活費が高くなる
  2. 学校に求人票を出す企業はその学校の地元企業に限られるため、就職で不利になる
  3. 高専に不合格になっても高校から高専へ編入できるし、大学に進学すれば高専以上の学習ができるため、高専に限定して受験するメリットが少ない

まとめ:メリットもあるがデメリットも多い

複数校志願受験制度によって、自宅近くの高専にはない学科を受験できたり、高専に合格しやすくなるメリットが生まれたが、デメリットも多い制度である。

よって定員割れが起きそうな地方の高専しか導入していない。

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