個性尊重vs集団重視 各国の教育の違い
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各国の教育の方法には、個性尊重型教育と集団重視型教育の大きく2つに別れる。それぞれの教育方法のメリットとデメリットを比較する。
個性を尊重vs集団を重視
下の表が個性尊重型教育と集団重視型教育の違いである。
個性尊重型 | 集団重視型 | |
---|---|---|
親の教育費負担 | 低い | 高い |
問題の答え | 生徒が考える | 教員が教える |
詳しい教育内容 | 教員・自治体・学校が定める | 国が定める |
能力の伸ばし方 | ほめて育てる | 叱って育てる |
重視するもの | 個人の意志 | 集団の考え |
国内に住む民族の種類 | 多い | 少ない または 一民族が他の民族を支配 |
ノーベル賞の受賞者数 | 多い | 少ない |
典型的な国 | スウェーデン フィンランド オランダ など |
韓国 日本 中国 など |
日本も取り入れている、集団重視型教育の典型的な例は韓国である。その韓国とフィンランドなどの個性尊重型教育との違いを項目ごとに紹介していく。
教育費を比較
個性尊重型:授業料無料・塾なし
スウェーデンやフィンランドは大学まで、オランダは16歳まで授業料が無料である。また、学習塾へも行かないため、保護者の教育費負担は非常に小さい。国よっては政府から通学費や教科書代の支援もある。
集団重視型:教育費負担が大きい
日本や韓国の学校では、授業料は低くても、学習塾などへ通うため総合的な教育費は高額になる。韓国は典型的な例であり、子ども1人にかかる教育費比率は、日本に比べて小学生で5倍、中学生や高校生でも2倍程度高い。
学習方法を比較
個性尊重型:生徒が学習内容を自ら決める
個性尊重型の教育では、例えば数学と国語の授業があった場合は好きな方を選べる。体育の授業ではサッカーをするグループ、バトミントンをするグループ、・・とクラス内でそれぞれ別れ、近くの学校と合同で行う。生徒に選択する自由を与え、個人の意志が重視される仕組みにしているのだ。
日本に比べ、オランダの授業は教員が質問して生徒に答えさせることが多い。教員は問題の解き方を教えるのではなく手助けをする仕事だと、位置づけられているためだ。
この方法によって子どもの個性や独創性を高めることができる。一方、教員によって学習内容の差が大きいことが問題視されている。
集団重視型:他人との競争で自己の存在価値を測る
集団重視型の教育では、日本のように教員が一方的に話し続ける授業が多い。生徒が時間割や学習内容を選択する自由は限られ、授業中は生徒の発言も制限されている。
学習する内容は暗記中心のものであり、他人との競争で自己の存在価値を測る。
韓国の場合、生徒は夜遅くまで学習塾や学校で勉強をしており、小学生の平均帰宅時間は9時、中学生にいたっては11時である。「自律学習」という名のもと、自律どころかほとんど強制的に学校や学習塾へ残らせる教育をしている。
能力の伸ばし方を比較
生徒が下の成績をとった時、個性尊重型と集団重視型では教員の対応が異なる。
個性尊重型:ほめて育てる
教員:「数学90点は素晴らしい。もっと勉強すれば名門大学の数学科にいける。数学科を受けるのなら、国語はもう勉強しなくてもいいでしょう。」
特徴:子どもの長所をほめて、本人の能力や個性を伸ばす。
集団重視型:叱って育てる
教員:「国語で50点は低すぎる。こんな成績では志望校に合格できない。国語をもっと勉強しなさい! 数学は十分点数をとっているから、これ以上勉強しなくていい。」
特徴:子どもの欠点を叱って、短所を直そうとする。
徴兵制度の違いで見る、個人の意志の扱い
個性尊重型と集団重視型ともに国によっては徴兵制度があるが、それぞれ異なる。
個性尊重型:徴兵を拒否できる
ドイツの場合、徴兵制度があり、本来は強制参加であるが、病気などの理由で兵役につくのは全体の20パーセントにとどまってしまい、制度が維持できず2011年6月に廃止されている。
ドイツの徴兵制度のように、個人重視型は個人の意志が尊重されている。
集団重視型:韓国で徴兵を拒否した者は刑務所行き
一方、韓国にも徴兵制度があるが、兵役を拒否する者は刑務所行きとなる。懲役期間も長く、1年6カ月から3年である。
私が韓国人から直接聞いた情報によると、お金を払えば徴兵義務を免除できるが、「韓国の敵」と非国民扱いされるため、その制度は利用しづらいとのことだ。
つまり、集団重視型の国では、法律においても個人の意志が尊重されていないことがわかる。
学力ランキングを比較
経済協力開発機構(OECD)による国際的な生徒の学習到達度調査である「PISA」では、個性尊重型と集団重視型ともに優秀な成績を上げている。
ともに国や保護者が子どもにかける教育費が高いため、学生時代では差が生じにくい。
ノーベル賞の多さ
個性尊重型:ノーベル賞は多い
ノーベル賞はスウェーデンが31人、フィンランドが3人、オランダが16人受賞している。
ほめられて育ったため学習意欲は高く、競争教育をしていないため独創性も高い。学校卒業後も学習意欲の高い人材が多く、ノーベル賞受賞者が多い。
集団重視型:ノーベル賞は少ない
ノーベル賞受賞者は、韓国では平和賞1人のみだ。北朝鮮との国交回復に尽力したとして、金大中元大統領はノーベル平和賞を2000年に受賞している。
(しかし、アメリカに亡命した元情報員がノーベル平和賞受賞のために組織的な「工作」を行っていたことや、北朝鮮に5億ドルを不法送金したことが暴露されている。)
集団重視型教育の典型例である韓国にノーベル賞が少ない理由は、大学生の様子からも伺える。
韓国では前述した通り夜遅くまで強制的に受験勉強をする。しかし大学生になると今までの勉強疲れのせいなのか、急に遊び始めてしまい勉強しなくなる。
受験戦争の疲れで学習意欲は少なく、暗記中心の受験勉強のせいで独創性も育ちにくい。そのため、ノーベル賞受賞者が少ない。
国内に住む民族の数を比較
個性尊重型:民族が多い
個性尊重型教育の国では宗教や民族が多様である。
そのため強制的な教育を行うと、価値観や能力の違いから民族や宗教の対立から暴動につながってしまう。対立を防ぐために、個人の思想を尊重する必要があり、言論や表現の自由が寛大に許されている。
集団重視型:民族が1つ、または一民族が他の民族を支配
一方、集団重視型教育の国では1つの民族が国民の95パーセントを占めるか、中国のように1つの民族が他の民族を支配している。
少数民族の勢力が非常に弱いため、支配的な教育をすることができ、個性を尊重する必要もなく、政府が教育の細かいところまで関与できる。
まとめ
韓国のように集団重視型教育を行えば、他者と競争させることで特定の分野には強くなる。
反対に、オランダ・フィンランド・スウェーデンのように個性尊重型教育は個人の意志や意見を重要視するため、個人の能力を発揮しやすく、適応力のある人間に育ちやすい。